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デッスンの個人日記

デッスンの個人日記

記憶を失くした剣士(後編)


記憶を失くした剣士 後編
 夜が明け、東の空に太陽が上り始めた頃、セレナたちはシルバーナイトタウンから大都市アデンへ向かうこととなった。
 シルバーナイトタウンから北上し、途中水の都ハイネを経由すれば、数時間でたどり着くそれほど遠い道のりではない。
 しかし、ベルガ曰く、「いくら昼間だからと言っても、道を歩くのには危険すぎる」だそうだ。
 シルバーナイトタウンからアデンへ向かうのはそう遠い距離ではないのだが、途中ハイネの森や鏡の森と言った危険な場所が待ち構えている。
 ファーゾルトはもちろんのこと、ベルガやキスティの力量があれば、難なく通過することは容易いが、セレナが危ない。
 しかも、追っ手がモンスターを相手にしている時に襲ってきたりしたら、正直守りきれる自信が無かった。
 結果、少々金が掛かるがテレポーターの力を借りてアデンの街まで飛ぶ事となった。
 テレポーターにアデナを渡し、何か魔法を唱えたかと思えば、回りの景色はシルバーナイトタウンの町並みからアデンの街並みへと景色が変わっていた。
 シルバーナイトタウンの少し古びた感じとは異なり、アデンの町並みは綺麗に整っていた。
 高級感あふれる銅像や、きれいに整えられた草木は芸術といえるだろう。
 記憶を失ってからアデンへ来るのは始めてであったが、この街並みには覚えがある気がする。
 今、ファーゾルトたちが居るのは、アデンの中央広場。近くにドワーフ倉庫のカムと北へを見れば世界最大の城、アデン城の正門がある場所だ。
 何か思い出すきっかけになるかとおもいきや、これといった物は感じられなった。
「では、早速セレナの婚約者の家へ向かいましょう」
 言って先導するのはキスティだ。
 昨晩聞いた話では、その家はアデンの西にある大きな家で、姓はノースウィンド。長年続くアデン城を守ってきた家系だ。
 知識としては知っていたが、どんな人物が居るのか思い出せない。
 ……曖昧な記憶しない事はなんとも不便だな。
 ファーゾルトは改めてそう思った。
 キスティの先導にセレナは頷き歩き出す。
 ベルガも彼女のすぐ後ろで足を進める。
 ファーゾルトも彼女らを追おうと歩き出した時、一つの疑問が浮上した。
「ちょっと待ってくれ」
 ファーゾルトが呼び止め、その疑問を投げかけた。
「向かうのはいいが、ベルガとキスティはセレナの婚約者に会ったことあるのか?」
 セレナは会ったことが無いと言っていた。それなら2人は会ったことが合うのだろうか。
『…………』
 しかし、答えは2人揃って押し黙り、
「……そういえば」
「……無いですね」
 と言って来た。
「………」
 呆れた人たちだ。
「相手は貴族の家柄だろ? そんなんで大丈夫なのかよ?」
 いきなり訪れて何というつもりだったのだろうか。
 追い返されるだけなら未だしも、相手は貴族の家柄だ。速攻でガードが飛んできて監獄にぶち込まれる恐れもある。
「まぁセレナの名前を出せば、向こうは分かってくれるだろ? 婚約者の家が襲撃されたという情報も入ってるだろうし、何とかなるだろ」
「まるで前途多難だな……」
 あははは、と笑っているベルガを尻目に、ファーゾルトはため息を付いた。
 それから少し辺りを見ました後で、ファーゾルトはこう切り出した。
「すまないが、俺は他のところへ行っていいだろうか?」
「……なぜだ?」
「正直、身元も分からない俺なんかが行っても役に立たないだろ。それなら一通り街を見て歩きたいんだ」
「ふむ、……確かにそうだが、別に記憶探しは後でもいいだろ?」
「本格的に探す訳じゃない。ただ適当に歩いてみて見るだけだ」
 そうか、とベルガが少し考えた後で、
「なら2時間後、ドワーフ倉庫のティンプキンって、分かるか?」
「ああ、地図ならしっかり持ってるし、地理ならしっかりと思い出せる」
「うし、んじゃ2時間後にそこでおち合おう」
 アデン中央広場でファーゾルトは別行動を取ることにした。


 足は東に向かい、とりあえずアデンの名所とも言える場所、聖堂を目指していた。
 さすが大都市と言うべきであろう。
 所々にアインハザードの銅像や、過去の英雄の銅像などがならび、変哲の無い庭先でさえきれいに整えられている。
 ……こんなところに住むのも悪くないよな。
 などと思いながら、足を進める。
 道なりに進み、角を曲がり、また進む。
 まるでここに来るのは初めてではないような気がしながら、聖堂にたどり着くことが出来た。
 より一掃に目立つその聖堂を見上げていると、丁度鐘の音が響いた。
 聖堂の入り口を見ると、新郎新婦が居り、みんなから祝福を受けている所であった。
 しばらくその様子を見ており、ブーケトスが行われた。
 華やかなブーケがゆっくりと宙を舞い、その下では先ほどまで祝福の笑顔だった女性達が群がっており、狂人的なパワーを発揮していた。
 ブーケを奪い合い、張り倒し、殴り合い、途中からはモンスター生成ワンドを振る物も加わり、何が目的だったのか分からなくなってしまった。
 巻き添えでこちらに向かってくるモンスターたちを張り倒しながら、後半は見なかったことにしようと、心の記憶にそっと鍵を閉めることにして、次の場所へ向かうことにした。
 聖堂から北へ向かえばそこはスラム街へと街の景色をがらりと変える。
 所狭しと建つ家々は、先ほどとはまるで異なり、少し寂びれている。
 それでもそこに住む人々は楽しげで、貧富の差などお構いなしの暮らしがそこにある。
 それは、人々の心が豊かであり、恐らく街の治安も良いのも一つの理由であろう。
 スラム街を通り、今度は西を目指す。
 城を左手に置いて、西にたどり着くと、そこは商店が多い一角になっている。
 城壁のすぐ北にはアデンの港があり、外国の様々な品物が運び込まれているようだ。
 そんな様子を見ながら、ファーゾルトは街へと足を戻す。
 そして、行き着いたところは集合場所となっていたドワーフ倉庫のティンプキン近くの広場だ。
 約束いていた時間よりもまだ30分ほど早いが、見ればベンチに腰を下ろしていたセレナの姿が目に付いた。
 しかし、その姿は俯きどこか寂しそうであった。
 ……婚約者のことが気に入らなかったのかな?
 そう思ってセレナのもとへ足を進めた。
 ベンチの目の前に立っていると言うのに、セレナは俯いたまま、こちらに気付いた様子がない。
 ……この落ち込みようは尋常ではないな。
 しばらくどうしようか考えた後、わざと音をたてるようにしてセレナの隣に腰を下ろした。
 突然の事にセレナが驚き息を呑んだのが分かる。
「もぉファーゾルト、びっくりさせないでください」
「気付かないセレナが悪い」
「………」
 それからまた落ち込んだように黙ってしまう。
 そんな様子を見ていると、こちらも気が落ち込みそうだ。
「そんなに気に入らなかったのか?」
 恐る恐る訊いて見るが、答えはゆっくりと首を横に振り否定した。
 では、なぜそんなに落ち込んでいるのか。
 再び訊こうとしたら、セレナの方が先に口を開いた。
「いらっしゃらなかったのです……」
「居なかった?」
 はい、と頷き、
「どうやら、襲撃されたと聞き、私を助けるために家を飛び出したそうです。それからこの一週間、何の音沙汰無いそうで……」
「そうか……」
 それは、自分のために関係の無い人まで巻き込んでしまった落ち込みなのだろう。
 しかし、逆の考えも出てきた。
 セレナが襲撃されたと聞き、家を飛び出したという事は、少なくともそいつはセレナの事を知っているということだ。
 ならば、そいつは今もセレナの事を血眼になって探している可能性もあるということだ。
 では、そいつは今、どこに居るのだろうか。
 答えは簡単だ。
 セレナの故郷の辺りにいるだろう。
 ……何とか会わせてやりたいな。
 しかし、セレナの故郷がどこなのか知らない。
 知らないのなら訊けばいい。
「……ところで」
 相手が落ち込んでいるのに、このような事を訊くのは間違っていると分かっている。
「セレナはどこの生まれなんだ?」
 彼女はゆっくりと顔を上げ、
「私はグルーディン出身なんです。昔は温泉とかあって良い所だったそうですが、今は少し前に起こった戦争で復興中なんです」
 確かに、グルーディンと言えば少し前に起きた戦争により、壊滅状態になってしまった事を覚えている。
 現在も復興に力を入れているらしいが、うまく捗らないようだ。
 ……そういえば、俺も意識を取り戻した時シルバーナイトタウンじゃなくてどこかの森の中だったな。
 それからふらふらと歩き、シルバーナイトタウンに辿りついた事を思い出す。
 何処だったかな、っと思い出そうとするが、記憶が曖昧だ。
「ファーゾルト、意外と早かったな」
 ベルガが手にジュースを持ちながらやってきた。
 中身はどうやらりんごジュースのようだ。
 それをセレナに渡し、目線だけこちらに向け問いて来た。
「どうだ? 何か思い出せたか?」
 その問いには首を横に振るしかなかった。
「そうか、そいつは残念だったな」
「気にするな。そう簡単に取り戻せるとは思っていない。ところで、どこ行ってたんだ?」
 ファーゾルトの問いに答えたのは、ベルガの後ろに居たキスティが姿を現し、
「セレナの婚約者の事について調べていました」
 彼女は右手に何枚かの紙を見せながら告げ、
「名前はシャル・ノースウィンド。先祖代々アデン城の衛生兵で、兵士の間では一二を争う実力者。他にも人望も厚く、かなり慕われているという話だそうです」
「しかし、当の本人は一週間前から行方不明ときた」
 ベルガが言葉を続け、更に続けた。
「ついでに、婚約話もセレナの家族と本人が居ないせいで微妙なところだそうだ」
 そうなると、破棄という話もある。
 ファーゾルトは思った。
 ……出来れば破棄のほうがいいな。
 そうなれば、セレナは自由の身になる。
 このまま無理やりな結婚よりも、お互い好きな人と結婚させる事が出来ればどんなに良いだろうか。
 そんな事を考えながら、
「これからの事はどうするんだ?」
 宛が外れたとなれば、いつまでもここに居る意味が無い。
 いや、逆にこの街に居たほうが追っ手も手出しは出来ないだろう。
 しかし、キスティが違う事を述べた。
「ケントに向かってみてはどうでしょう?」
 ケントへ? と問い返すと、キスティは、はい、と頷き、
「正直のところ、私たちは逃げる事で手一杯で、相手の情報はまったくありません。その為、ケント城のディル様のところへ行き、応援をお願いしたいと」
 視線をセレナに向け、
「よろしいですね?」
 疑問系で問いかけているにもかかわらず、答えは一つしか無いような気がする訊き方だ。
 セレナもそれに気付いたのか、すこし黙っていたが、ゆっくりと頷いた。


 森に囲まれた城、ケント城。
 領地に納めるのはケントの町とグルーディンの二つしかなく、お世辞にも豊かな城とは言いがたい。
 それでも、町の治安良い為、人々の暮らしは贅沢はあまり出来ないが豊かといえるだろう。
 それは、長年続く家系の素晴らしさを物語っている。
 そして、いまこの城を収めるのは、ディル・ハーゲイス。ご両親が早くにして亡くなった為、早くしてこの城の王位を継承した。
 まだ二十歳前後だというのに、その威厳は高く、今世界に争いを生み出しているラスタバドの勢力に一番に抵抗している人とも言える。
 セレナとベルガ、キスティの3人はケント城を訪れていた。
 ファーゾルトはここでも何か思い出せないか、いち早く町へ向かってしまった。
 例え、記憶をなくしたファーゾルトが城の中に入って、間違っても捕まる事は無いと言ったのだが、ファーゾルトは断ったのだ。
 仕方なく3人で城を訪れると、待っていたかのようにメイドのイボンヌが居た。
「どうぞこちらです」
 言われるがままにメイドの後を追い、3階の一室に案内された。
「ディル様、セレナ様たちをお連れしました」
『ああ、入ってくれ』
 扉の中からこもった声が聞こえ、イボンヌがゆっくりと扉を開けた。
 大きな部屋の中央にはテーブルとソファーが置かれ、そのソファーに腰を下ろして書類を読んでいる若者が一人居た。
 この城の主、ディル・ハーゲイスだ。
 彼はこちらに視線を向けると立ち上がり、
「やあセレナ君、噂には聞いていたが生きていてくれて嬉しいよ」
「こんにちわディル様」
 セレナが丁寧な挨拶をすると同時に、後ろのベルガとキスティも丁寧な挨拶を行う。
「そんなに硬くならなくてもいいよ。もっと楽にしたまえ」
 そう言われても、相手は王族の一人でこちらは一端の富豪の娘だ。
 本人がそう言っても、守らなければならない礼儀というものだ。
 口にはしてないが、ディルは残念そうな表情を浮かべた。
「とりあえず、腰を下ろしたまえ。飲み物は紅茶でいいかな?」
「はい。ありがとうございます」
「後ろの2人も腰を下ろしたらどうだ?」
「いいえ、我々にはお気遣い無く」
「そうか、どこの近衛も堅苦しい者ばかりだな」
 そう言いながら、ディルは再びソファーに腰を下ろした。
 先ほどの言葉は嫌味ではなく、もっと楽に接して欲しいというディルの気持ちなのだろう。
 話は早速本題に入った。
「しかし、実に残念な事だよ。君のお父上にはずいぶんと世話になったというのに」
 本人はそれほど意識していないのだが、世界的に有名な富豪の家系なのである。
 何もしていなくてもお金は集まり、すでに3世代ぐらいは普通に暮らせるほどの蓄えがあると言う噂もある。
 しかし、セレナの先祖たちはそのお金を自分達の為ではなく、使って町の復興や街道の整備などに使っているのだ。
 セレナの祖父が言うには、「世界には恵まれない人たちが多いというのに、私たちだけこんなに裕福なのはおかしい」だそうだ。
 ならば、お金をばら撒いてはどうだろう、と言う意見もあるが、それをしてしまうと、単なる嫌味にしかならない。そのため、町の復興や街道の整備などに使っているのだ。
 おかげで、より多くの人々が住みやすくなったと、お礼を言われる毎日だった。
「ところで、一つ聞きたいことがあるのだがいいかね?」
 ディルがカップを置きながら、真剣な表情で訊いてきた。 
「はい、何でしょう?」
 セレナもカップをテーブルに降ろしながら答えると、ディルの口から意外な言葉が現れた。
「君の家族を供養したのは、君たちかね?」
「い、いいえ。私たちはあの日以来戻っては居ませんけど……」
「そうか……。では、いったい誰が……」
 そう言ってディルは深く思考に入ってしまった。
 その様子がうまく把握できず、
「あ、あの……、どういう事でしょうか?」
 問い返した。
「ああ。少々解らない問題があってな……」
 ディルは紅茶を一口飲み、
「我々も君の家が襲撃されていると聞き付け、すぐに兵を向かわせたのだが、兵がたどり着いたときには敵の姿は無く、全員分の墓が庭に安置されていたのだ」
 大き目の封筒をイボンヌから受け取り、テーブルの上に置いた。
「その中には、君の墓もあったのだ」
「なっ……」
 後ろで黙っていたベルガが思わず声を発した。
 ディルが大きな封筒をひっくり返すと、中から数枚の書類と共に何枚かの写真が雪崩出た。
 一枚を手にとって見ると、木々に囲まれた大きな家が写っていた。
 その家とは、紛れも無いセレナの実家だ。
 しかし、家の傍には、見慣れない物が建っている事に気付いた。
 何だろうと思い、目を凝らすがぼやけていて解らない。
 写真とにらめっこしていると、
「こちらの写真の方が解りやすいだろう」
 そう言って、ディルが差し出した写真をみた。
 家の傍に建っていたのは、簡素だが木で十字に組まれた墓が見受けられる。
「この写真が一番の問題でな……」
 そう言ってディルが差し出した写真には、その墓の一つがアップで写っており、そこにはこう書かれていた。
『セレナ ここに眠る』
 その写真を見た瞬間、思わず息を呑んでしまった。
 いったい誰がこんなことをしたのだろうか。
「これは襲撃犯の当てつけなのかもしれないと考え、悪いと思ったが、我々は墓を暴く事にしたんだ」
 ディルが詫びるように深く頭を下げた。
「君の父上、母上の墓はしっかりと埋葬されていたが、君の墓の中には違う人物が入っていた」
 言いながら、封筒から別の種類の写真を一枚取り出した。
「彼女に見覚えは?」
 セレナが写真を受け取り視界に入れると、その表情が固まった。
 黄緑色のワンピースに、腰まで届くほどのロングヘアーを流した女性が写っていた。
 セレナとは似ても似つかない人物であるが、その人には見覚えがある。
 ベルガとキスティもその写真を見ると息を呑んだ。
「……あります。私の友達です」
 昔、良く遊んでくれた大事な友達だ。
 それが今、変わり果てた姿で写真に写っていた。
「そうか、襲撃犯がこんな墓を作っておくとは思えぬし、当てつけにしては彼女を君の墓に入れる意図が掴めない……」
 犯人がやっていないと言うのなら、別の人物がやったのだろうか。
 思いつくのはグルーディンの人たちだ。
 現に、セレナの友達はグルーディンに住んでいた。
 その彼女がそこに居たと言う事は村の人が訪れて弔ってもおかしくない事だ。
 しかし、それではセレナと彼女を間違えたのが辻褄が合わない。
 では、いったい誰が……。
 後ろのベルガが何かに気付いたように突然声を挙げた。
「そうだ! シャル・ノースウィンドだ! その方でしたらセレナの容姿を見ただけでは分からない可能性があります!」
「シャル・ノースウィンド? ああ、サクラの兄上か。ふむ、確かに君とシャルに婚約話があったのは私の耳にも入っている」
 確かに、シャルであれば、セレナの家にたどり着いた時に見た目で両親は判断できる。しかもセレナは一人娘のため、その場に居る二十歳ぐらいの女性がセレナだと判断するだろう。
 結果、セレナの友達をセレナと勘違いして埋葬したと考えれば辻褄がある。
 が、では埋葬した当の本人はどこへ言ったのだろうか?
 新たな疑問が浮上してしまった。
「ディル、入っているんじゃなくて入れたのでしょうが!」
 声と同時に、ディルの頭が横から殴打された。
 顔が横にぶれるだけに止まらず、彼の身体は宙を飛び、壁に激突した。
「痛いなサクラ君、……おお! サクラ君いつの間に!?」
 わざとらしい驚きを無視してサクラと呼ばれた女性がこちらを向いた。
 整った顔立ちに、髪をポニーテイルヘアーに縛り、服装はタンクトップにジャージ姿と、女性らしからぬ服装であったが、タンクトップを押し上げるほどの大きな胸が少し羨ましい。
「確かに、兄さんならすっ飛んで行って行方不明になったという話を聞いているわ。まったく、どこで油を売っているのかしら」
 呆れた様子で漏らす言葉に、セレナは何となく居心地が悪くなっている。
「そうですか……」
 サクラはこちらの気を軽くしようと言ってくれていると思うのだが、肩を落としてしまう。
 その様子に気付いたのか、サクラがセレナの顔を覗き込むように近づき、
「心配してるの?」
「……はい」
「大丈夫よこれでもワタシの兄よ。そう簡単には死なないわ。だから、貴方が心配する必要なんて無いわ」
「……ありがとうございます」
 心配するなと言われて、すぐに気持ちを切り替えられるほどセレナは良く出来た人間ではない。
 本当に大丈夫なのかな、っと考えていると、
「これからどうするかね?」
 吹き飛ばされたディルが再びソファーに座って紅茶を飲みながら問いて来た。
「希望ならここに置いてもいいのだが?」
 紅茶が無くなったのか、イボンヌにおかわりを告げている。
「心遣いありがとう御座います。でも、とりあえずは、両親のもとへ行こうと思います」
「そうか、念のために兵を何名か護衛に付けよう。君はまだ命を狙われている身の上、念には念を入れたほうが良さそうだ」
「はい、ありがとうございます」


 ケント城へ入らなかったファーゾルトは町をぶらついていた。
 この町にも来た覚えがあるような気がするが、それ以上の事は何も思い出せなかった。
 町自体もそれほど大きくないため、30分ほどで大体は見終えてしまった。
 それからは、待ち合わせていた町の中央にある掲示板近くの木の根元で座っていた。
 視線はやはり空へ。
 ここの天気は快晴のため、暑い太陽が燦々と輝いている。
 風もある程度あるため、今日は気持ちがいい。
 風がそよぐ音と、セミたちの鳴き声を子守唄に、昼寝も悪くないか、と思ったとき、彼のもとへ向かう複数の足音が鼓膜を叩いた。
「ファーゾルト、何か記憶に関することは見つかったか?」
「いや、ここにも着た感覚はあるが、何も思い出せない」
「そうか、とりあえずこれからセレナの御両親の墓参りに行くけど、お前も来るか?」
 ケントに残っていても仕方が無いため、
「ああ、お供しよう」
 武器を持ち、立ち上がった。


 ケントから南に下り、森に挟まれた街道を通って数十分。
 そこにあるのは今は廃墟と化したグルーディン。
 昔はスライムレースや温泉郷があり、何より話せる島の連絡船がある。当時はそれなりに賑わっていたが、今では訪れる人々のほとんどが素通りしてしまうような町である。
 その町の外れにあるのがセレナの実家である。
 町一番の富豪のため、それなりに大きな家かと思っていたが、実際目にしてみたら意外と小さい。
 いや、言い換えよう。
 実際に小さいのだ。
 近くの家に目を向けると、その家はまだ復旧途中だが、その家と同じぐらいの大きさしかなかった。
 ……自分の幸せよりも、他人の幸せか。
 ここまで来る途中、ケントとグルーディンをつなぐ街道に石の橋があった。どうやら、その橋もセレナの祖父が費用を出して作ったものと言う話も聞いた。
 ……立派な祖父だな。
 そう思いながら、一行は家の庭へ足を向けた。
 さすがに、一週間以上も襲撃の跡を残しておく事は無く、血の匂い等はきれいになっていた。
 しかし、それでも剣などの切り傷などは生々しく残っている。
 そして、庭には似つかわしくない十字の墓標が立っている。
 セレナがゆっくりとその墓標に近づき、膝を突いた。
 泣くかと思ったが、彼女は手を合わせて祈りを捧げていた。
 ベルガもキスティも、護衛役の兵士も祈りを捧げている。
 ファーゾルトとはなんら関係があるとは思ったが、やって相手も悪い気にはならないだろから、短い黙祷を捧げた。
 目を開け、辺りを見渡すと、近くにあるのは花壇だったのだろうか。
 様々な色を咲かせた花達は、主人たちが居なくなった家をきれいに飾り、まるで主たちに捧げるかのように寂しく咲いていた。
 その花をお供えにしようと思ったが、やめておく事にした。
 恐らく、セレナの母親が面倒を見ていた花壇だ。それを墓前でそれを行う事が出来なかった。
「その花壇はセレナの母親が大事にしていたものだ」
 訊いても居ないのに、ベルガが勝手に話しだした。
「家政婦たちが手伝おうとするが、断ってな……」
 話は勝手に進み、いつの間にかベルガとキスティの身の上の話しになっていた。
「セレナの御両親は、俺ら2人の両親でもあるんだ」
 出だしはそんな感じから始まった。
「孤児の俺らを養子として引き取り育ててもらった。その恩に酬いえるために俺は剣術、キスティは魔術を習い、セレナの近衛を引き受けたんだ」
 遠くをみるような視線を見せながら、墓標へと移し、
「結局、俺らはあんま役に立てなかったけどな……」
 寂しそうな口調が、突然憤りに変わった。
「これじゃ、何のために生きてきたの解らねえよ」
 力いっぱい握りこぶしを作ったせいか、ベルガの手から血が滴り落ちた。
 キスティの表情はなんら代わり映えがしないが、奥歯をかみ締めているような気がした。
「そんな事ありません」
 墓標に祈りを捧げていたセレナがゆっくりと顔を上げた。
「貴方たちが居なかったら私は今頃この世に居なかったか、どこかで幽閉されていたことでしょう」
 身体をベルガとキスティに向け、深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
 顔を上げ、再び墓標に向き直り、
「しかし、どなたか存じませぬがご両親を弔って頂き――」
 セレナの声はそこで遮られた。
 突然、木の上から落ちてきた男達が、セレナを押さえ込んだからだ。
 男達は素早くセレナを取り囲むと、持っていたナイフの切っ先をセレナの首に当てた。
「へっへっへ、やっと見つけたぜ。セレナお嬢様よぉ」
 身のこなしといい、木の上でずっと気配を消していたことから、かなりの実力を持った奴らだ。
 しかも、こちらが動けないうちに確実にセレナを人質として捕らえたのだ。
「セレナ!!」
 ベルガとキスティが武器を構えようとすると、
「おっと、動くな!」
 セレナの背後に回った男が声を挙げると同時に、セレナの喉から一滴の血が流れた。
「俺は意外と小心者なんだよ。お前らが武器に手を置いただけで俺はびびって手を滑らせちまうかもしれない」
 くくく、と笑い声を漏らしながら、セレナの首からもう一滴の血が流れる。
「俺達だってセレナお嬢様が死んじまったら困るんだよ。だからお前らも動かずに大人しくしていろや」
「まずは、お前らの武器を捨てろ」
 と、別の男が言った。
 従わなければ、セレナが殺される。
 喉の奥で、くそっ、と吐き殺しながら、鞘を抜き地面に捨てた。
 城から護衛に着いて来た兵士も従わざるおえない。
 一瞬にしてピンチになったファーゾルトたちだが、ファーゾルトの頭の中はなぜか済んでいた。
 ……何なんだこの感じは……。
 目の前の危険に感情は爆発しそうなのに、酷く落ち着いている。
 顔を下に向け、思考する。
 しかし、何かが思考を邪魔をする。
 ……俺は、一度ここに来た事がある。
 最初にここに来たときからそんな感じがあった。
 ……何故?
 と、脳裏で呟いた瞬間、ファーゾルトの脳裏に閃光が走った。
 それは、記憶という名の閃光だった。
 走馬灯のように、頭の中に記憶が駆け巡る。
 最初に思い出したのは、一週間前のこと。
 ……俺は、ここで――。
 次に思い出したのは15年前のこと。
 ……その時も俺はここで――。
 一通り記憶を取り戻すと、意識は現在へ戻る。
「……思い出した」
 小さく呟いた。
「え?」
 ベルガとキスティが振り向きはしなかったが、目線だけを彼に向けた。
 その様子に男達も気付いたのか、怒気を荒くして叫んだ。
「テメエら! 何話してやがる!」
 しかし、彼は小さい声で続けた。
「俺の名前も、俺の全ての記憶も……」
 下げていた顔を上げると、ベルガとキスティ、セレナが驚いた表情を浮かべた。
 彼はゆっくりと、こう告げた。
「今更こう言うのも何だが、久しぶりだねセレナ」


 セレナは目の前の状況に理解できないで居た。
 突然、男達が木の上から降りてきたと思えば、ナイフを喉に当てられ、身動きを封じられた。
 怖かった。
 怖くて声が出ない。
 恐怖のあまり、聴覚も音を認識してくれない。
 ただ一つ自由な視線だけを必死に動かし、周りを見る。
 ベルガとキスティたちが苦虫を潰したような表情で、己の武器を捨てているのが解る。
 そして、奥のほうでファーゾルトも同じように捨て、俯いてしまった。
 しかし、すぐに彼は顔を上げた。
 視線は真っ直ぐとこちらを向いて、
「今更こう言うのも何だが、久しぶりだねセレナ」
 と、彼が言った。
 セレナの心臓が大きな脈を打つのを感じた。
 声はファーゾルトのはずなのだが、何かが違う。
 先ほどと何ら変わらないはずなのに何かが違うような感じがする。だけど、どこか懐かしい感じがする。
 何故懐かしいのか。
 その答えは、ファーゾルトの次の言葉で理解できた。
「すまない。15年前にあんな事を口にしておきながら一週間以上も遅れてしまった」
「――ッ!?」
 セレナの脳裏に忘れてしまった記憶が蘇えった。
 15年前のあの日、場所は確かここら辺だ。
 5つ年上の男の子と約束したあの日の事を。
 その男の子の名前を。
 自然と涙が溢れた。
 だが、流すわけには行かない。まだ、流す時ではないのだから。
 彼は両手をいっぱいに広げ、叫んだ。
「俺が誰だか分かるよな? さぁ困った時が来たらいつでも呼びな。すぐにでも助けよう!」
 セレナは息を吸い、叫んだ。
 ナイフが少し喰い込むが、構わずに叫んだ。
 15年前のあの日に届くように。15年前のあの約束を果たすために、彼女は叫んだ。
 彼の名を。
「シャ――ル!!」


「何だって!?」
 ベルガとキスティは驚いた。
 探していた本人が近くにいたことに、そして、15年前のあの日の事を言っている事に。
 ファーゾルトもとい、シャルはセレナの叫びに頷き、
「そうさ、俺の名はシャル・ノースウィンド! アデン一のナイトであり、セレナの婚約者だ!」
 言い切った。
 森の中を彼の声が響き、辺りは騒然となる。
 シャルは広げていた腕を下ろし、足元に捨てた武器を拾い、抜いた。
 その事で、ハッ、と気付いた男達が慌てて叫んだ。
「貴様! 武器を捨てろといったはずだ!」
 しかし、シャルは抜いた剣を男達に向け、
「さぁ、セレナを離せ」
 済んだ良く通る声が響いた。
 ベルガがゆっくりと振り向き、シャルの横顔を見た。
「――!?」
 ただ横顔を見ただけだ。
 それなのに、背筋が凍るほどの冷たい視線があった。
 殺気とはまた別の気迫だ。
 もし、そんなものを正面から受けた場合、果たして自分は立っている事が出来るだろうか。
 いや、立つことすら出来ずに、尻餅をついているだろう。
 男達もその気迫に押されたのか、身動き一つ取れなくなっていた。
「聞こえなかったのか? ……セレナを離せ!」
「だ、黙れこの野郎! お、俺達には人質が居るのを忘れてるんじゃないのか!」
 勇ましい台詞だが、声が震えている。
 シャルの気迫に押し潰されないだけでもすごいのか、ただ単に気付いていないだけなのか。
 しかし、男達にはセレナという大きな人質が居る。
 まず、セレナを助けなければどうにもならない。
 ベルガとキスティは目線だけでどう助けるか話し合う。が、
「そうか、実に残念だ」
 シャルが言った。
 残念と言いながら、どこか嬉しそうだ。
「しかし、実に裕福だ」
 何が裕福なのだろうか分からない。
 訊いても居ないのにシャルは勝手に話した。
「なぜなら、15年前……。いや、15年と一週間前の約束を今こそ果たせるのだからな!」
 シャルが叫ぶと風が流れた。
 まるで大砲の弾が横を通り過ぎたような風だ。
 否、実際に大砲の弾見たいのが通ったのだ。弾の名前はシャル・ノースウィンド。
「北風は竜をも貫くぞ!」
 目にも止まらぬ速さとはまさにこの事を言うのだろう。
 実際に見えていないのだからそう表現するしかない。
 気付いた時には、男達の大半は吹き飛び、セレナの身体はシャルに抱かれていたのだ。
 シャルの右手にあるツルギは、セレナを捕らえていた男の喉仏に当てられている。
「本当なら殺したいが、今はセレナの前だし、墓前を汚すわけにはいかない」
 恐らく、セレナが居らず、墓前でなければ彼らの命はあったのだろうか。いや、確実に断たれていただろう。
 だがな、とシャルは続け、
「半殺しまでにして一生監獄に入れてやるさ」
 シャルの台詞が小悪魔の囁きに聞こえたのは気のせいだろうか。


 それから1分で男達全員をぼこぼこにして、15分後ディルたちが訪れていた。
 未だに理解できていないベルガのために、シャルとセレナが説明している。
「つまり、私が言っていた15年前の男の子はシャルの事だったのです。当時シャルは10才で私は5才でね」
「そして、一週間前。俺はセレナの家が襲撃されたと聞き、慌てて向かった。しかし、時すでに遅しと言う感じでセレナの家は蛻の殻だった。あると知れば無数の遺体だった」
 一息入れ、
「しかし、15年も会って居なければセレナの容姿なんて分かりもしなかった。それでも俺は探した」
 だがな、と続け、
「もう冷静な判断なんてこれっぽちも無く、別の遺体をセレナと勘違いして気が狂いそうだった。そんな想いを必死に押さえ、埋葬したんだ」
「それじゃ、やっぱこの墓はお前が?」
 ああ、とシャルは頷き、
「それからは自分でも情けない話さ。感情の高ぶりのせいで記憶に混乱が生じ、記憶喪失になった。一種の現実逃避だったんだろうな」
 本当に情けないな、と声を低くして笑っている。
「し、しかし、つまり、なんだ……、そのぉ……」
 言葉に詰まっているベルガにキスティが助け舟を出す。
「セレナが15年前に想いを寄せていた人と、婚約話の人は同一人物と言う事ですか」
「そう! 俺もそう言いたかったんだよ!」
 本当にそうなのかどうなのかよく解らないが、ここで聞き返してもどうしようもない。
「確かにそうだな。言い出したのはどっちの親かは知らないが、俺もセレナの事気に入ってたしな」
「わ、私もシャルのこと気に入ってた!」
 負けじとセレナも声を張り上げて言うが、シャルは、うそつけ、と軽くあしらい、
「俺の名前忘れたくせに」
 痛いところを突かれた。
「そそそれは、ま、まだ私が幼かったから!」
「どうだかなぁ」
 そんな風にセレナを遊んでやると、セレナは、むぅ、と低い唸り声をあげだした。
 なんとも可愛らしいしぐさだが、これ以上は少々かわいそうだ。
 セレナの頭に手をポンと置き撫でてやる。
「ま、そういう事にしといてやるよ」
 微笑んでやると、彼女も笑い返してくれる。
 それを邪魔するかのように、遠くからディルの声が響いた。
「おーい、そろそろ行くぞ」
 言葉の裏には何か怨念を感じるが、無視した。
 シャルは立ち上がり、
「行こうかセレナ」
 右手を差し出した。
 15年と一週間、長いようで短い時の間。
 しかし、2人の間にはそんな間は関係ないだろう。
 差し出された右手を両手で握り返し、立ち上がる。
 そして、元気良く返事を返す。
「はい!」
 何年か前のある日の事であった。



 そして現在。
 大都市アデンのノースウィンド家のリビングには、何人かの女性達が集まっていた。
 ダークエルフのカナリアとこの家の長女サクラ、エルフのエルにウィザードのマリア・パプリオンと他にも何名かの女性達がこの家のリビングに集まっていた。
 そしてもう一人、左手の薬指にエンゲージリングが眩しい女性が一人、皆と向き合うように座っている。
「良いお話ですね。記憶を無くしてもなお守ろうとしたなんて、それはもう運命としか言いようがありませんね」
 紅茶が入ったカップを持ちながら微笑ましく言うのはマリアだ。
 現在、女性たちが集まり、世間話をしていたのだが、話の内容はいつの間にか恋話になり、この中で一番結婚暦が長い女性の話で盛り上がっていたのだ。
「それで、セレナさん2人はやっぱり結婚したんですか?」
 身を乗り出して問いかけるのはカナリアだ。
 結婚という言葉にアクセントをつけ、自分もして見たいという裏も伺えるほどだ。
 しかし、答えるのはセレナではなく、ポニーテイルヘアーのサクラだ。
「カナリア、ワタシの兄さんの名前とそこの女性の名前を言ってごらん。ついでにその人の左手も見てみなさい」
「え?」
 えーと、とカナリアがしばらく考えた後、
「サクラさんのお兄さんがシャルで、そこの女性がセレナさん……、あッ!」
「やっと気付いたの? 本当に鈍いわねぇ」
 そう良いながら紅茶をすするのはヴァイオレット・ヴァラカスだ。
「ふふふ、恥ずかしい過去話よ」
 ちょっと恥ずかしそうに頬に手を当て答えたのがセレナだ。
「自分の惚気話をしておいてよく言うわねぇ」
 と、手持ち無沙汰の手でカップを持ったり置いたりしているサクラだが、
「そういえば、ベルガさんとキスティさんはどうなったのセレナ義姉さん」
 忘れてはいけないセレナの近衛である2人組み。
 しかし、セレナがここへと告いで来たときから2人の姿は滅多に見ない。
 会うとすれば、新年の時ぐらいだろう。
「あの2人でしたらきっと、グルーディンの復興に協力しているはずよ。夫婦としてね」



〓〓〓〓〓 あとがき 〓〓〓〓〓

 どうも、最近恋愛話しか書いていないような気がするアフォ作者デッスンです。

 別に、欲求不満で小説に書き表している訳ではないのですが、どうも気付けばそんな話しか書けないような気がするんですよねぇ。
 俺の話しに恋愛を抜いたらどんな話になるのか少し楽しそうな気もするのですが、多分書けないでしょうね。
 ほんまに困ったものだw


 さて、あとがきと行きましょうか。

 お読みになられて分かるとおり、サクラの兄であるシャル・ノースウィンドの過去話+惚気話です。
 アデン一のナイトと呼ばれる彼にもこんな過去があったのだというちょっと面白半分(残り半分は絶対本気)で書いた作品です。
 後半辺りは何かぐちゃぐちゃになり、良く分からなくなっている気がしますが、一応これで完結ということになります。
 

 何? サクラとシグザの惚気話が訊きたい?
 何? フィールとカナリアの惚気話を出せ?
 何? ゾルバとマリアの話し?

 サクラとシグザの話しは一応構成だけですが、考えてあるんですよ。
 フィールとカナリアは構成は出来ていないけど、書こうと思えば考えるかな?
 最後のは個人的な意見になっていそうなので、省きますわ。

 では、今回はここで筆を下ろさせて頂きますわ^^ノシ
 (7/18書)


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